昔も今も、家庭のリーダーである父親の責任は大きい。子どものしつけ方がわからず、子育てに自信を失っている人も多いようだが、父親は決して子育てに自信をなくしてはいけない。また、子育てを母親任せにしてもいけない。
私は、まずお父さんたちに自分なりの子育てに対する「ポリシー」をもってほしいと思う。
多くの親は、自分の理想の型に、知らず知らずのうちに子どもをはめこもうとしているようだ。
だから、歪みやズレが生じてしまう。結果、「子どもがわからない」「思うように育たない」ということになる。
本来は楽しく、すばらしいものである子育てが、そのような人たちにとっては、ゆううつで苦痛の伴うものになってしまっている。
思うようにならないのは、一般社会にあっても、企業にあっても同じである。
こうしろ、ああしろと云わなくても、「あんな大人になりたい」という気持ちをおこさせることが、まず第一歩ではないだろうか。親が「自分の子どもにこうあってほしい」と願う気持ちはあって当然だし、それが子育てのビジョンにつながっていく。
子どもに「あいさつができる人間になってほしい」と願うのであれば、親から率先して「おはよう!」「行ってきます!」と声をかける必要がある。また、「思いやりのある大人に」と思うなら、自分から率先して高齢者に電車のシートをゆずる親でなければいけない。
しかし、どう生きるか、何にやりがいを見いだすかを決めるのは、あくまでも子ども自身である。
彼らの判断にゆだねるニュートラルな部分を最大限に残し、かつ豊富な選択肢を用意してやることが親の仕事なのだ。それは子ども人生にさまざまな「仕掛け」を用意していく演出家にもたとえられるだろう。
子どもという役者の個性を見極め、これをどう生かし、どう動かしたら、いい舞台が作れるか、わくわくするような大事業である。
時には、挫折もあり、反撥もあるだろう。しかし、どう説明したら分かるのか、どう表現したら納得させることができるのか、それを苦痛に感じず、前向きに考えられれば、こんなに幸せな事業はない。
子どもの人生の生き方のキーパーソンになれる父親業ほど、やりがいのあるハッピーな事業はないのだ。 |